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ドクター・デスの遺産 読了

刑事犬養隼人シリーズの4作目、映画にもなったドクター・デスの遺産を読了しました。

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面白かった!映画も観たくなりました。

 

ドクター・デスの遺産は安楽死殺人をテーマとした事件です。日本では認められていない安楽死は殺人になります。

刑事である犬養隼人は安楽死殺人を行うドクターデスを名乗る人物を捕まえようと奔走するのですが……。

 

安楽死というのは難しいテーマだなと思います。認められている国もあれば、日本のようにその処置を施すと殺人になる国もある。高齢化社会が問題として取り立たされている今、安楽死についても度々議論になったりしますよね。

ドクターデスは安楽死処置をしますが、誰も彼もそうするわけではありません。ドクターデスの価値観に基づいた、末期の病気、死の苦痛に苦しむ者、そして本人の同意がある場合にしか手を下すことはないのです。

安楽死することはその者の望みであり「この殺人に被害者はいない」といった台詞はとても印象に残りました。

 

主人公である犬養隼人も悩みます。日本の法律では確かに罪。ですが犬養隼人には難病の娘がおり、生きて欲しいという気持ちと苦しむことなく楽になって欲しい両方の気持ちが理解できるのです。

 

ドクターデスは犬養隼人にとって最大のライバルになるのではないでしょうか。作中で犬養隼人自身が、ドクターデスと自分はどこか似ている部分があると認めています。

綺麗事だけでは済まされない死についての話は、胸中に様々な感情を抱かせてくれました。

ドクターデスと犬養隼人の結末がどうなるのかは是非本を読んで確かめてみてください。

 

犬養隼人シリーズの文庫は現在ドクターデスまでしか発刊されていないようですが、文芸書にて続編があるようなので、また読んでみたいと思います。