終遠のヴィルシュ プレイ完了
Switchで発売されている終遠のヴィルシュをプレイ完了しました。ジャンルはアドベンチャー、乙女ゲームに分類されます。
乙女ゲームらしくない乙女ゲームというのが個人的な感想です。私は面白かったですが、合わない人はとことん合わないゲームだと思います。
とにかく最後の第三幕と呼ばれるルートまで救いのないゲームです。第三幕にいくためには攻略キャラを全員クリアしなくてはいけないのですが、第三幕をクリアするまでグッドエンドにいくことが出来ません。もれなく全員絶望エンドという名のバッドエンドです。しかも本当に絶望というか、誰一人救われず報われずといった感じでした。色んなことが複雑に絡み合い、常に絶望的な展開になるゲームでしたが、ストーリーは凝っていて感心しました。ただ恋愛色は弱めで、個人的に乙女ゲームというより女性向けアドベンチャーゲームといった感じに思えました。
あとAmazonレビューや感想を検索すると、BL要素という単語が出てくるのですが、それについての個人的な見解を最後に書いてみようと思います。
まずはキャラ別感想から。少々ネタバレありになります。
*イヴ
通常盤パッケージの表紙になっている彼。攻略制限がある彼ですが、主人公の能力の正体が明かされたり、彼自身が正義のヒーロー的なキャラも合って、かなり怒涛な展開を繰り広げるストーリーでした。
嫌味のないキャラで好感度は低くないのですが、彼の「はくあい」は個人的に絶望を感じましたね。
BL要素問題は彼のルートにあります。
*リュカ・プルースト
私が最初に攻略したキャラ。容姿はかなり女性的で、最初は男性と思えるかなと不安になったんですが、最終的に結構好きになりました。
彼の正体はすぐに分かってしまったのですが、とにかくストーリーが悲劇的で可哀想でした。
絶望エンドはもちろん、救済エンドも悲しい結末で、限定盤か店舗別特典の冊子で描かれる物語も救いはないそうです。彼の所業では仕方ないのかもしれませんが、辛いですね。
*マティス・クロード
私の好みではないのでちょっと印象が薄いのですが、彼も可哀想なキャラでした。
絶望エンドはもちろん、個人的に救済エンドも少し物悲しい感じがしました。救済エンドのスチルは笑顔でとても明るい色が使われているんですが、それが余計に悲しさを漂わせているように感じましたね。
*シアン・ブロフィワーズ
このキャラが目当てで購入しました。容姿、声がすごく好みです。個人的に1番乙女ゲームらしいシナリオになったキャラだなと思います。救済エンドも1番恵まれていて、ハッピーエンドだと思いました。どのルートでも比較的出番が多いのですが、悪役っぽいのが多いです。
個人的に絶望エンドも好きですね。傲慢で自身を神だと言う彼が、ようやく弱い部分を見せたなと思いました。
*第三幕
全てが解き明かされるルート。ここを深く語ればネタバレになるので語りません。ただ言えるのは、是非頑張ってこのルートをクリアして欲しいということでしょうか。あるキャラに少し涙してしまいました。
最後にBL要素問題について個人的な見解です。私はBLが好きだった過去があり、BL小説を執筆、投稿、小さな賞ですが受賞したことがあります。BLとはなんぞや……と哲学的なことまで考えていたことがあり、BLにはそれなりに詳しい方だと思います。現在はそこまでBLを読んだりしていないのですが、嫌悪感はなく、普通にそれを受け入れられる人間だということを考慮してこの感想をお読みください。
さてヴィルシュのBL問題。ある男性キャラがある男性攻略キャラに対して恋愛感情を抱いていることが発端であります。
男性が男性に恋愛感情……ここに引っ掛かっている人がいるということです。
個人的見解ですが、ヴィルシュのBL問題はBL要素ではないです。
BLとは男性と男性の恋愛をメインに描いたもの、なおかつ現実とはかけ離れた少女マンガ的要素を多く含んだ、女性向けファンタジーです。男同士の恋愛=BLだ!と言う方もいらっしゃいますが、違うんですよ。その理屈で言えばドラマ化し、人気を博した「きのうなにたべた?」もBLになるんですが、BL雑誌で連載されている作品ではなく、あれは青年誌で連載されている漫画です。
あと実際のゲイの方も、ほとんどがBLを好みません。あれは本当に女性向けに描かれたファンタジーなんですね。
ヴィルシュの同性愛の要素は、あくまでそれをメインに描いていない以上、それは同性愛要素で合ってBL要素ではありません。
同性愛の要素といっても、サブキャラは攻略キャラに好きだと言ったわけでも、女性である主人公に恋敵として接しているわけでもありません。本人も気持ちに気付いていないのです。(最後にようやく気付くのですが、気持ちを伝えたりもしません)
ただ側にいる友人として、攻略キャラを大切にしているだけです。
そんな本人も最後まで気付かなかった片想いでBLだと糾弾されるのは、個人的に嫌な気持ちになりました。腐女子に媚びているなんて感想も見ましたが、腐女子の1人としては困惑してしまいます。
乙女ゲームって所謂オネエと呼ばれるキャラだったり、女装するキャラだったり、ちょっとレズビアンを匂わせるキャラだったり、色々寛容的な部分が沢山あるのに、なぜ男性の同性愛はこんな問題になるんでしょう。
女性が男性と恋愛するゲームだから!と言われる人もいますが、そのサブキャラは主人公の邪魔はしませんし(自分の気持ちに気付いていないですし)、その理屈なら他のことも糾弾されないと変な気もします。
BL要素を制作者は黙っていた、と仰る方もいましたが、BL要素ではないですし、作品を出すたびに同性愛要素があるのでご注意くださいと公言するのもおかしいかなぁと思います。
同性愛がどうしても苦手だと言う方がいらっしゃるのは分かっています。それと同時に全ての人間に考慮した作品というのも、とても難しいのだなと思いました。
長々と語ってしまいましたが、終遠のヴィルシュというゲームは乙女ゲームとして異作でした。絶望的な結末ばかりのゲームですが、最後の最後に救いはあります。
一風変わった乙女ゲームをしたい方、ゴシックホラーなどが好きな方にはオススメできる作品です。
是非プレイしてみてくださいね。