積んだら崩せ!

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藻屑蟹 読了

赤松利市さんの「藻屑蟹」を読了しました。

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作者のデビュー作です。ネットでこの本を知り、いつか読んでみたいと思っていました。

 

お話は東日本大震災から数年後。福島やその近辺で垣間見える、震災の闇のお話です。

私にしては珍しい、社会派ドラマですね。

 

作者は元除染作業員。路上生活をしていたという経歴の持ち主です。実際に震災から数年後の福島にいたからか、現場の雰囲気や福島に広がる暗雲など、とてもリアルでした。

福島の良いことばかり書いているわけではありません。当時ネットで噂されていた賠償金にまつわる話や農作物の話。それがとてもリアルに描かれています。

はっきり言って仕舞えばお金が絡み合った人間の醜いものも見えてきます。未曾有の被害をうんだ震災ですら、お金儲けに変えてしまう人間たち。

小説内である事件が起こり、そこはフィクションだろうということは分かりますが、それでもどこかリアルなのです。

 

面白い娯楽話ではありません。ですがフィクションとはいえ当時の現状を記録したお話も必要だと思います。

 

余談ですが、私はずっとこの本のタイトルを「もずくがに」と勘違いしていました……。もずくじゃなくってもくずでしたw

あー、恥ずかしい。