積んだら崩せ!

ゲームと本が好き!だけどほとんど積んでます。

バスタフェロウズ プレイ完了

Switchとスマートフォンで販売されている「バスタフェロウズ」を全ルートプレイ完了しました。

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ジャンルはいわゆる乙女ゲームというやつですが、どちらかと言うと恋愛要素は薄め。男性でも楽しめるようなしっかりしたストーリーになっています。

個人的にとても楽しめました!真相ルートでは珍しく涙が……。ハラハラあり、ときめきあり、涙ありの、とにかく感情を揺すぶられるゲームでした。

尚こちらのゲームはVITAで発売されている「サイドキックス」というゲームと世界が繋がっています。キャラやストーリーに繋がりはないので前作をプレイする必要はないですが、プレイしていたら分かるネタがちょっとあったりしますよ。

以下、各キャラ感想になります。

 

 

 

 

 

 

リンボ……パッケージにデカデカと描かれている彼。メインキャラになるのかな?

個人的にすごく好きなキャラでしたー。

弁護士なので頭の回転が早く、冷静ながら大胆なことも出来ちゃう彼。少年のあどけなさがありながらも、大人の男性としてリードしてくれる場面も……。

リンボのルートは昔に一悶着あった友人の復讐劇なのですが、主人公を大切にしている様子がすごく良かったです。弱いところを見せるリンボも可愛かったなぁ。

バッドエンドも結構好きです。リンボは可哀想でしたが、主人公のことがそれだけ好きだったのね……。リンボって仲間思いで家族を大切にしていて、主人公のことも溺愛していて。かなり情が深いタイプですね。本人は否定していますが、正義のヒーロータイプだと思います、はい。

 

シュウ……一番年長で武闘派。といっても28歳。容姿も声もすごく好みです。特に立ち絵の後ろ姿がサイコー。背中が素敵……。

殺し屋という職業上、死が付き纏う彼。仲間を大切にしているのは伝わってきますが、自分がいつ死ぬかも分からないのでどこか一歩引いているところも。

主人公にも他の男を探せと優しく突き放したりしますが、やっぱりお互い惹かれているので離れられないんですよねぇ……。

バッドエンドは主人公を失ってしまい、闇に堕ちてしまったシュウがいました。その後のシュウは描かれていませんが、きっと仲間のもとには戻らず、孤独に生きるんだろうなぁ……。

 

ヘルベチカ……個人的にちょっと苦手なキャラです。性格が私とは合わないかな。

ただストーリーは嫌いじゃありませんでした。

ヘルベチカの過去が意外でしたね。

あとバッドエンドも嫌いじゃないです。あそこから主人公たちと新しい物語が起きるかも……なんて僅かな希望を抱かせる終わり方かなぁって。バッドだから無理なのかもしれませんが。

 

モズ……検察医で医学用語満載の彼。死体に話しかけたり常人とは感覚が違うところはありますが、それ以外は至極真っ当で真面目な男性です。性格はどちらかといえばクールなんですが、物をはっきり言ったり、仲間の痛いところを的確に指摘したり、意外にも人の舵取りは上手いタイプかなと。

モズの妹が彼のストーリーのキーになるんですが、あの結末はちょっと可哀想だったな……。

バッドエンドはバッドエンドって感じですw

 

スケアクロウ……コミカル担当。なんというか仕草とかめちゃくちゃ可愛いw

カッコ付けで、でも決まらなくて。仲間に弄られるムードメーカーというか。わちゃわちゃした感じが少年っぽくて可愛かった。

恋に慣れていないせいか、主人公とも初々しいんですよね。見ていて微笑ましかったなぁ。

ストーリーの感想は、これからゆっくり家族の絆を深めていってもらいたいです。

バッドエンドは救いなくバッド。

 

真相……二つあるんですが、一個の真相が個人的にボロ泣きでした。可哀想すぎる。

あと真相ルートだけ乙女ゲームじゃないですよねww

攻略キャラの薄いこと……。なんのための攻略キャラやったんや。

まあゲーム内の謎が全て解けたのは良かったのですが。

 

 

こんな感じの感想になりました。

前作もそうなんですが、今作も海外ドラマ仕立てで画面がすごくオシャレでした。街の雑踏が聞こえてきたり、演出面も凝っています。

ちょっとデンジャラスな描写はありますが、アドベンチャーゲームとして人にお勧めできるゲームでしたね。新作を出してくれたら間違いなく買いますよ、私。

甘い乙女ゲームを探している人には物足りないかもしれませんが、ストーリーが良いアドベンチャーゲームを探している人にはオススメできます。是非プレイしてみてくださいね。

(腐)江戸文化から見る男娼と男色の歴史 読了

表題のものを読了しました。表紙はこちらです。f:id:tanakaraikofu:20200908190312j:image

 

一応(腐)マークを入れましたが、BLではないです。江戸文化から見る歴史と表紙に書かれているように、中身は教科書的です。表紙の絵こそ現代的ですが、中の絵は歴史に残る春画ばかりで、BLを期待して買うとギョッとするかもしれません。昔の絵って独特ですし、春画となれば普通にイチモツが描かれてますし。

 

私がこの本を購入したきっかけは陰間茶屋のことを知りたかったからです。BL漫画で花魁ものって一時期流行りましたし、未だに根強い人気があるジャンルだと思います。特にネット小説BLとかだと高順位になってたりしますね。

 

ただBL界における遊郭ものってすごくファンタジーというか。陰間茶屋じゃなくて遊郭だし、太夫子じゃなくて花魁呼びだし。ちょっと個人的に納得いかないところが沢山あって、実際はどうだったのか知りたいと思っていました。

この本を読む以前にネットで色々調べて知識を得ていたのですが、この本は更に詳しい情報が網羅されていたので購入して良かったと思います。

 

なかなか読み応えが有りますし、興味がある方は是非。ただもう一度書きますが、BLではないですよ。

藻屑蟹 読了

赤松利市さんの「藻屑蟹」を読了しました。

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作者のデビュー作です。ネットでこの本を知り、いつか読んでみたいと思っていました。

 

お話は東日本大震災から数年後。福島やその近辺で垣間見える、震災の闇のお話です。

私にしては珍しい、社会派ドラマですね。

 

作者は元除染作業員。路上生活をしていたという経歴の持ち主です。実際に震災から数年後の福島にいたからか、現場の雰囲気や福島に広がる暗雲など、とてもリアルでした。

福島の良いことばかり書いているわけではありません。当時ネットで噂されていた賠償金にまつわる話や農作物の話。それがとてもリアルに描かれています。

はっきり言って仕舞えばお金が絡み合った人間の醜いものも見えてきます。未曾有の被害をうんだ震災ですら、お金儲けに変えてしまう人間たち。

小説内である事件が起こり、そこはフィクションだろうということは分かりますが、それでもどこかリアルなのです。

 

面白い娯楽話ではありません。ですがフィクションとはいえ当時の現状を記録したお話も必要だと思います。

 

余談ですが、私はずっとこの本のタイトルを「もずくがに」と勘違いしていました……。もずくじゃなくってもくずでしたw

あー、恥ずかしい。

日蝕えつきる 読了

花村萬月さんの「日蝕えつきる」を読了しました。

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帯に「希望を捨てよ」と書かれていましたが、いやはやその通り。一寸の光もないお話でした。

 

面白いとか面白くないとか、そういうお話ではないと思います。主人公は5人。それぞれの人生を短編で綴られているのですが、行き着く先はどれも暗黒。(長十郎という人物のだけは、まぁ自業自得というか少し毛色が違いました)

時代小説なのですが、どれも作者が目で見てきたようにリアルなのです。

 

私は女なのですが、お登勢の運命には胸がかなり痛みました。本を開いているのが辛くなったほどです。そして次二という人物の物語での描写が凄まじく……物を口にしたくなくなりました。この作者、凄まじい筆力です。

解説者は男性の方だったのですが、その方は吉弥という陰間のお話が辛かったそうで、性別によって感じ方が違う本なのかもしれません。

 

どうしてこんなにも救いのない話を作者は書かれたのでしょう。そんな疑問もありますが、この本はフィクションとはいえとてもリアル。こんな運命を辿られた人が、その時代には確かにいたのだと、そして今のこの世にもいるだろうと思います。それを知ることは決して無駄じゃないはず。

 

余談になるのですが、作者の花村萬月という名前、とても綺麗ですよね。てっきり女性の作者だと思い込んでいたのですが、男性だったようです。なんだか風流で良いなぁと思いました。

 

時代小説なのでとっつきにくさはあるかもしれませんが、ある意味とてもすごい本だと思うのでいかがでしょう?

もちろん子供には薦められませんが。

屍人荘の殺人 読了

今村昌弘さんの「屍人荘の殺人」を読了しました。

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ミステリランキング4冠!!映画化!!の帯に惹かれて手に取ったのですが……。うーん、個人的になんて感想したら良いのやら。色々複雑な気持ちが渦巻きますww

面白くなかった訳ではない、と思います。じゃないと全部読めなかったと思うので。ただミステリ4冠と言われると?

この作者は今作で新人賞を受賞し、デビューされたということですが、恐らく賞を獲得した勝因は発想、もしくはこれを書ききったことなのかな、と。

あと商品化した際の展開が見えやすい。これ、小説向きではなく漫画やアニメ、映画に映える話ですね。

この本の感想はどうしてもネタバレになってしまうので、以下ネタバレ感想になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペンションを起こる連続殺人。ミステリランキング4冠を達成した本格ミステリーと思いきや、実はゾンビパニックだった!?

なにを言っているのかと思われるかもしれませんが、本当に書いている通りです。

ええ、ゾンビです。バイオハザードが起こり、ペンションに立て篭もったら今度はそこで連続殺人が起こるんです。

中は殺人鬼、外はゾンビと休まることのないパニックもの。……のはずなんですが、どうにも緊張感が足りないように感じました。

 

申し訳ない感想になるのですが、この作者はあまり文才に富んではいないと思います。非常に直接的で淡々としている。余分な描写があったり、かと思えば描写不足で訳が分からなくなったり。どうにも締まりがない。

あと一部のキャラがちょっとおかしい。読んでいて違和感を覚えるほど、芝居口調です。文体が軽いせいか芝居口調というよりアニメ的に見えました。ライトノベルだとおかしくないのかもしれませんが、こちらは新人賞をとったミステリー本だと思って読んでいます。おかげで最初から最後まで違和感が拭えませんでした。

 

クローズドサークルミステリーとしてはうまく纏まったなと感じたんですが、ゾンビものとしては投げ出したまま放置されたのもモヤモヤします。続編があるので真相はそっちでということなんでしょうか。片っぽを投げ出したままよく新人賞をとれたなと思ってしまいました……この辺りはゾンビでミステリーを書ききったことの衝撃が強かったのかな?

 

なんていうか難しい……作品自体は難しくないんですけど、読み終わったあとの胸中が複雑な本です。

多分最初からゾンビが出ると分かっていれば、ライトノベルとかで発売されていれば、結構すんなり受け入れて楽しんだかもしれません。

ただあらすじにはクローズドサークルで連続殺人としか書かれていないし、帯にはミステリランキング4冠とデカデカ載っているし、本格ミステリを期待して手に取ったので……。ゾンビが出た瞬間に「???」となったんですよ。

ミステリとしても被害者の想像はつくし、何故殺されていくのかという動機も簡単に想像できます。うまく纏まったなとは思うんですが、正直ミステリ面も肩透かしといったところ。

ただやっぱり、ゾンビとミステリを融合して書ききったというのは単純にすごいなぁと。これは作品の面白さと関係なく思うので……。

はっきり言って小説としてはかなり未熟な作品と思えるんですけど、今までにない作品ではあります。

手放しにオススメできる本ではないんですが、ライトノベルが好きな人にはいいのかなぁ。

本格ミステリ好きは駄目だと思います。

 

続編が一冊発売されているんですが、多分私は読みません。……こう思った私は恐らく本格ミステリ好きの部類なのか?

 

Root Film プレイ完了

Switch版の「ルートフィルム」をクリアしました。

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パッケージの裏には本格推理アドベンチャーと記載されています。本格推理……かはちょっと分からないのですが、私は面白かったです。

 

前作のルートレターは体験版をプレイして合わなかったので、製品版はプレイしませんでした。

 

ルートフィルムは製作当初から雰囲気が好きで気になっていたんです。ルートフィルムも体験版があったので遊んでみたのですが、最初は面白いけどセール待ちでいいかなと思っていました。個人的に目新しさがないと感じたんです。

ですがその後、複数の良い口コミを見て、これはプレイしなければ!と買ってしまいましたw

最後まで飽きずにプレイ出来たので、私には合っていたのだと思います。

 

本作は島根が舞台なのですが、現実にある場所で事件が起こるせいかテレビドラマを見ている気分になりました。

お話の雰囲気も火曜サスペンス劇場みたいだと思います。キャラは漫画的ですが、そこまで現実と逸脱していると感じませんでした。どのキャラも嫌味がなく、特に主人公の相棒とも呼べる曲愛音というキャラは可愛かった。

 

表紙に載っている二人が主人公なんですが、最初はなぜダブル主人公にしたのか分かりませんでした。お話も八雲編が5話でリホ編が2話。リホ編はおまけなのかと思いました。

ですが謎が繋がる後半。物語は一気に加速します。ドラマみたいでなんの繋がりもないと感じていた序盤や何気ないキャラ。それらが後半で繋がり、物語の全貌が明らかになります。そしてリホ編の謎も……。

後半からが真骨頂ですね。本当に面白かった!うまくストーリーを組み立てているなぁと思いました。無理なく綺麗にまとまって終わるし、良い映画を観た気分になります。

グラフィックもアドベンチャーゲームの中ではかなり良質じゃないでしょうか。背景や奥行きをうまく利用して臨場感をつけていると思いました。

 

ただ勿体ないのはゲームとしての難易度、ボリューム、価格かな。

はっきり言って難易度はないに等しいです。犯人を追及する場面はありますが、めちゃくちゃ簡単で推理する場面がありません。ここがパッケージに書かれている本格推理とは思えないところ。推理は主人公がしちゃうんですよね。プレイヤーは当てはめるだけ。しかもめちゃくちゃ簡単なものを。17才以上を対象にしたゲームでこの難易度はいただけない。

あとはボリュームと価格が見合ってないかなぁ。公式が公表しているクリアまでのプレイ時間が15時間。私がクリアにかかった時間はそれより少ない13時間ほど。ゲームとしてはボリュームが無い部類です。それでも価格はフルプライス。定価は7000円超えかな?クオリティは高いですがちょっと高いかなぁと。

このボリュームだと5000円前後くらいだと個人的に思いました。この辺りがちょっと勿体ない。

 

最近では推理アドベンチャーゲームが発売されることが少なくなっていて、今作のようなゲームが発売されたのは嬉しい限りです。手放しでオススメできるゲームではないかもしれませんが、ミステリ好きなら楽しめるゲームだと思います。続編が出たら買っちゃうかなぁ。

気になる方なら買いなゲームかも。

凶悪 ある死刑囚の告発  読了

最近とても暑いですね。家にこもって読書が一番いい気がします。

 

さて、「凶悪 ある死刑囚の告発」を読了しました。

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こちらは小説ではなく、ドキュメント本になります。なので実際にあった事件なわけです。

 

この本を手に取ったきっかけは映画でした。山田孝之さんらが出演している映画、「凶悪」です。この本をもとに作られた映画ですが、映画を観たときに衝撃を受けました。人間とはここまで残酷になれるものなのかと。

実際にあった出来事とは思いたくなかった。私が平穏に暮している間、こんなにも悲惨な目に遭わされ、闇に葬られていた人がいるなんて、とても悲しく恐ろしかったです。

どんなホラー映画やサスペンス映画よりも恐ろしく、後藤死刑囚が告発しなければ被害者は葬られたまま、共犯であった先生が野放しにされていたなんて考えたくもありません。

 

大変ショッキングな映像があるため、二度と映画版の凶悪は観ないと思います。それでももう一度この事件に触れたいと思い、本を手に取りました。

映画は脚色されているのではないか。そんな気持ちがどこかにあったのかもしれません。

実際は映画の出来事は本当にあったと再確認することになったのですが。

 

どうすればこんな凶悪な人間が出来るのか、私には分かりません。ただ人間はどこまでも悪になれる。そしてそれは身近かもしれないと、まざまざ感じさせてくれる本でした。

なお主犯格である凶悪な二人はすでに判決が下されており、一般社会にいないことだけが救いです。

 

こちらの本や映画はショッキングなものとなりますので、閲覧は自己責任でお願いします。

特に映画版は迫真の演技も相まって、そんじょそこらのホラーより恐ろしかったです。子供には絶対オススメできません。(確かR指定もされていたはず)