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屍人荘の殺人 読了

今村昌弘さんの「屍人荘の殺人」を読了しました。

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ミステリランキング4冠!!映画化!!の帯に惹かれて手に取ったのですが……。うーん、個人的になんて感想したら良いのやら。色々複雑な気持ちが渦巻きますww

面白くなかった訳ではない、と思います。じゃないと全部読めなかったと思うので。ただミステリ4冠と言われると?

この作者は今作で新人賞を受賞し、デビューされたということですが、恐らく賞を獲得した勝因は発想、もしくはこれを書ききったことなのかな、と。

あと商品化した際の展開が見えやすい。これ、小説向きではなく漫画やアニメ、映画に映える話ですね。

この本の感想はどうしてもネタバレになってしまうので、以下ネタバレ感想になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペンションを起こる連続殺人。ミステリランキング4冠を達成した本格ミステリーと思いきや、実はゾンビパニックだった!?

なにを言っているのかと思われるかもしれませんが、本当に書いている通りです。

ええ、ゾンビです。バイオハザードが起こり、ペンションに立て篭もったら今度はそこで連続殺人が起こるんです。

中は殺人鬼、外はゾンビと休まることのないパニックもの。……のはずなんですが、どうにも緊張感が足りないように感じました。

 

申し訳ない感想になるのですが、この作者はあまり文才に富んではいないと思います。非常に直接的で淡々としている。余分な描写があったり、かと思えば描写不足で訳が分からなくなったり。どうにも締まりがない。

あと一部のキャラがちょっとおかしい。読んでいて違和感を覚えるほど、芝居口調です。文体が軽いせいか芝居口調というよりアニメ的に見えました。ライトノベルだとおかしくないのかもしれませんが、こちらは新人賞をとったミステリー本だと思って読んでいます。おかげで最初から最後まで違和感が拭えませんでした。

 

クローズドサークルミステリーとしてはうまく纏まったなと感じたんですが、ゾンビものとしては投げ出したまま放置されたのもモヤモヤします。続編があるので真相はそっちでということなんでしょうか。片っぽを投げ出したままよく新人賞をとれたなと思ってしまいました……この辺りはゾンビでミステリーを書ききったことの衝撃が強かったのかな?

 

なんていうか難しい……作品自体は難しくないんですけど、読み終わったあとの胸中が複雑な本です。

多分最初からゾンビが出ると分かっていれば、ライトノベルとかで発売されていれば、結構すんなり受け入れて楽しんだかもしれません。

ただあらすじにはクローズドサークルで連続殺人としか書かれていないし、帯にはミステリランキング4冠とデカデカ載っているし、本格ミステリを期待して手に取ったので……。ゾンビが出た瞬間に「???」となったんですよ。

ミステリとしても被害者の想像はつくし、何故殺されていくのかという動機も簡単に想像できます。うまく纏まったなとは思うんですが、正直ミステリ面も肩透かしといったところ。

ただやっぱり、ゾンビとミステリを融合して書ききったというのは単純にすごいなぁと。これは作品の面白さと関係なく思うので……。

はっきり言って小説としてはかなり未熟な作品と思えるんですけど、今までにない作品ではあります。

手放しにオススメできる本ではないんですが、ライトノベルが好きな人にはいいのかなぁ。

本格ミステリ好きは駄目だと思います。

 

続編が一冊発売されているんですが、多分私は読みません。……こう思った私は恐らく本格ミステリ好きの部類なのか?