ユージニア 読了
恩田陸さんのユージニアを読了しました。
有名な作家ですが、私はこの作者の本を初めて読みました。
とても文章力の高い作家だと思います。
読んでいるだけで自然と情景が頭に浮かび、映画を観ているような気分になりました。
しかも雰囲気がすごく良いんですよ。
ストーリーは昔にあった大量殺人が軸なので、全体的に仄暗い空気が漂っています。
そのせいか夏の描写であってもどこかスッキリしないというか、青空にセミの声が聞こえる描写であっても薄暗く感じる気がしました。
本当に雰囲気を作り出すのがとても上手い。
お話は登場人物の独白によって進みます。事件の近くにいた人物たちの主観で語られますので、どこまでが真実でどこまでが思い込みかが分からない。湊かなえさんとかこの手法を得意とされてらっしゃいますよね。私もこの手法のミステリーは大好きです。
ストーリー上に重要人物として浮かんでくる一人の少女。この少女の描写の仕方がうまい!!
清廉なのに妖艶でミステリアス。語られる少女の真実がとても気になりました。
終盤は予想通りの展開になったのですが、それでもエンディングはスッキリしません。読者に考える余地を与えていると思いました。
こういったお話は何度か読んで気付くことがあったりするので、そのためにこんなエンディングにしたのかなと思います。エンディングには賛否がありそうですね。
恩田陸さんの本は他のも読んでみようと思います。というよりこの作者の別の本が読みたかったのですが、本屋に並んでなかったので今作を手に取ったのです。
次はお目当ての本が見つかるといいなぁ。